モノの価値は人によって違うのだから・・・

中学生のとき、友人から「経済観念がない」と指摘されたことがあった。たぶん、遠足のお菓子を一緒に買いに行ったのだと思う。遠足のお菓子といえば、いくらまでと上限額が決まっている。(今でもそうなのかな?)

私は好きなお菓子を1つ手に取り、また別のお菓子を探していた。私が手にしているモノを見た友人は、突然興奮して
「何やってんの!こっちの方が安くていっぱい入ってるねんで!」
と言って、安くていっぱいのお菓子を私に渡そうとした。

その強引さにビックリした。

私はそれは欲しくない!
量なんかどうだっていい!
私が美味しいと思うもの、好きなものを買いたいの!

心の中で叫んだものの、すごく大人しかった私はそんなことは到底言えず
「私はこれが食べたいから」
と控えめに言って、自分が選んだモノを買った。

それからしばらく、その友人は
「もう経済観念ないねんから!」
とプンプン怒っていた。

私が「価値観の違い」というものを初めて意識したのはこの時だったかもしれない。

実はこの件があってから長い間「私って経済観念がないんだ」と思っていた。いや思い込んでいた。だけど、お金の使い方は変わらなかったし、変えようとも思わなかった。

だって、いくら安くたって要らないものはいらないし、安いからという理由でたいして欲しくないものを買う方がよっぽど無駄遣いじゃないか。てか、美味しいと思えないものをたくさん食べるなんて、もはや拷問!とさえ思う。

単に安物が嫌だと言っているわけではない。値段が安くても気に入ったモノはとことん大切にするクセがある。そういえば、あまりに物持ちが良すぎて、姉に大笑いされたことがあった。

昔、姉が着ているのを見て、デザインが気に入り全く同じ服を買った。たぶん当時1,000円か1,500円ぐらいだったと思うのだけど、フード付きの黒の長袖シャツで、丈とかゆったり感とかシルエットがすごく気に入って、大切に大切に着ていた。本当に気に入っていたので、同じ様なものを随分探したのだけど、これというものが見つからないまま、延々とそのシャツを着続けていたのだ。

ある日実家に帰ったとき、そのシャツに気づいた姉が
「えっ!それって、あのシャツちゃうの?ウソやろ!!まだ着てんの?」
と大爆笑された。
確かに、考えてみれば10年近く着てるかも・・・と改めて気づいて、私も爆笑してしまった。
「それにしても綺麗に着てるなぁ。私なんか色褪せたから、だいぶ前に捨てたわ。」
と今度はしきりに感心する姉。

そりゃもう大切にしてましたから。洗濯は黒いモノとしか一緒に洗わないし、色褪せするから絶対外には干さないと徹底していたし。(安い割に質が良かったというのもあると思う。最近の服ではきっと無理。)

まぁ、あれはちょっとやり過ぎかもしれないけど・・・

とにかく、モノの価値っていうのは、単に量とか値段とか数字で表せるものではないんですよね。「満足感」とか「幸福感」がどれだけ得られるかであって、それは人によって全然違う。他人には計れないし、比較なんて出来ない。自分基準で決めるものであって、またそれが自分自身を作っていくのだろうと思う。